Something New

Directed by Sanaa Hamri (2006)

Successful career-oriented woman participates a blind date for the first time, and her love story begins.

弁護士として有能な才覚を持っている若い黒人女性ケニアは、米国の黒人上流社会で育った箱入り娘でもあった。プライドも理想も高いせいか、ボーイフレンドもいなかった。そんなケニアに、ブラインドデイトを友人がアレンジした。ところが相手が白人男性であることを、実際に合うまで知らなかった。ケニアはそのデートを即打ち切りにした。皮肉なことに庭師であるその彼に、彼女の家の庭の改造を頼むことになる。人種的なカルチャーの違いのみならず、階級や収入の違いによる価値観の違い、都会育ちの女性と自然と共生している男性のライフスタイルの違い、ケニアはその違いに興味を示し、徐々に自ら違いを受け入れてゆこうとするが、、、異文化の違いの狭間で揺れ動く女心が見事に描かれている映画である。

Marie’s Story

Directed by Jean-Pierre Ameris (2014)      French Film

Marie is born deaf and blind, and unable to communicate with the world around her. Sister Marguerite sees in Marie a unique potential and she works to show Marie how to communicate.  Based on the true event in late19th century France.

邦題:奇跡のひと マリーとマルグリット

幼い時に三重苦になったヘレン・ケラーの“奇跡の人”は米国の話だが、この映画の主人公はフランスの田舎に住む生まれながらの三重苦の少女マリー。マリーは14歳の時に聾唖者が寮生活をしている聖母学院に連れてこられるが、そこでは皆が手話で会話をしていたのでマリーは、入寮を断られた。野生の動物のごとくに逃げ惑い、木に登ってしまったマリーに、聖母学院で働く修道女マルグレットが手を差し伸べる。その手にそっと触るマリーの手。その時、マルグレットは人間の魂にふれた気がした。そして自らマリーの教育担当者となることを願い出た。それからの二人がたどるコミュニケーション成立までの道程は、異文化の狭間に立たされた人への励ましにもなるだろう。病気で亡くなったマルグレットの意志を継いで、マリーは1921年に36歳で亡くなるまでその聖母学院で働いた。魂が揺さぶられる、感動映画である。

Somewhere only we know

Directed by Jinglei Xu (2015) Chinese Film

Young Chinese girl traces her grandmother’s past in Prague, and finds her grandmother’s unchangeable love story. Director Jinglei Xu is also a well-known actress .

邦題:あの場所で君を待っている

プラハの美しい街並みを背景に、半世紀以上に及ぶ愛を描いた中国映画。現地人達との会話は英語となるが、在プラハの中国人同士の会話は当然ながら中国語。第二次大戦中に祖国に帰還できなくなった祖母がプラハに来て出会った男性医師を探しに、孫娘がプラハにやって来た。亡くなった祖母が、人生の末期まで抱いていた真実の愛を確認する為に、そして孫娘自身そんな愛に憧れていた。プラハの街並みは変わらずとも、時代のカルチャーが表現する愛情のあり方の違いは、興味深く描かれている。ストーリーの展開はお伽噺要素もちらつくものの、鑑賞者に対して愛の本質を囁いている映画でもある。なお、監督であるJinglei Xu (シュー、ジンレイ)は、中国を代表する女優でもあり、多方面で活躍している。

War of the Buttons

Directed by Christophe Barratier (2011)    French Film

During WWII, in a little town in France, there are 2 children’s groups to fight each other always. One day a girl comes to the town to live with them. The original story is from French novel, and made a film in 1961 and remade in 1995. This is the 3rd remake film.

同名のフランス小説の映画化ではあるが、1961年(邦題:わんぱく戦争)、1995年(邦題:草原とボタン)にも映画化された。フランスの小さな町で、少年達が隣町の少年達と戦争ごっこをしていたが、大人達の世界では第二次世界大戦の狂気が少しずつ、この町にも迫っていた。リーダー格のルブラックは、町に住むことになった見知らぬ少女への思いを徐々に募らせてゆく。子ども達の戦争は過熱化するが、勝利品は敵の少年達の服のボタンであった。思春期を迎えたルブラックは、父親ともしばしば衝突した。しかし、新住民の少女がユダヤ人であり、彼女を追う狂気の手が迫っていることを知ったルブラックの父は、町中の人達と共に彼女を保護した。しかも、敵であった隣町の少年達さえも協力した。のどかな田園風景と美しい音楽に包まれながら、深い余韻を残してくれる映画。

Lawrence of Arabia

Directed by David Lean (1962)

Story of British Officer T.E. Lawrence who had successes and struggles in Arabic counties in early 20th century.  Starring: Peter O’Toole

時代は第一次世界大戦当時、舞台はアラビア半島である。実存したイギリス人陸軍将校T.E.ローレンスが、オスマン帝国からのアラブ反乱に巻き込まれてゆく歴史を描いたイギリス映画。アラブ部族達から英雄扱いされる自分とイギリス軍の政治戦略の間で泳ぐ2人の異なる自分を、主役のPeter O’Tooleが熱演し、異文化の狭間での苦悩を見事に描いている。音楽の雄大さや砂漠の厳しさと美しさの感動は、40年以上前に鑑賞した時と変わらない。むしろコンピューター・グラフィックの普及していなかった当時に、砂漠の中に村を建設し撮影された数々の名場面に、制作者達の熱意が溢れている事実をより深く理解出来る。

Buen Dia, Ramos

Directed by Jorge Ramirez Suarez (2013)

Ambitious young man from Mexico who travels to Germany to find a job, strikes up an unlikely friendship with a German aging woman.

メキシコから米国への出稼ぎに幾度も失敗したメキシコ青年が、ドイツで成功した人の話にそそのかされて、有り金はたいてドイツに渡った。ところがトラブル続きで帰国が出来なくなってしまった。一文無しになったメキシコ青年に暖かな眼差しを向けたのは、一人暮らしのドイツ人年配女性であった。地域カルチャー、時代のカルチャーを超えて人々の心が見事に共鳴し合ったこの映画を、あえてラブ・ロマンスのカテゴリーに入れた。男女の恋物語に狭めることなく広範囲での愛情物語は、これからのラブロマンスの先駆者とも言える。異文化理解推進の手本のような内容は、今の時代的な要素も楽しく盛り込まれている。スペイン語とドイツ語の会話にもどかしさを感じるかも知れないが、異文化の狭間を体験した者なら、その演出に大いに納得させられる。

White Water

By Michael S. Bandy and Eric Stein, Illustrated by Shadra Strickland                                  (Candlewick Press ~ in 2011)

A black boy is wondering how is the taste of water fountain at  “White Only”.  The story sheds light on the reality of segregation through a child’s eyes.

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米国で人種分離政策が行われていた時代、バスの席も白人と黒人で分かれていたし、公共の水飲み場もホワイトとカラードに分かれていた。祖母と町へ出かけた黒人少年は、白人の少年が飲む水が自分の飲む水よりも新鮮で冷たく美味しいに違いないと思い込んだ。その黒人少年は、別の日に危険を冒してホワイトの水飲み場から水を飲んでみた。ところが同じ味がした。Michael Bandyの幼年期の体験を基にした、先入観にとらわれずあらゆる可能性に勇気を持って行動することを教えてくれる物語。

Meet the Parents

By Peter Bently, Illustrated by Sara Ogilvie                                                                                      (Simon & Schuster Books for Young Readers –2014)

Parents are continually nagging children to do this or to do that, but each page describes another good parts of parents with various parents’ images.

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両親と言う存在は、あれをしろこれをしろと煩い人達ではあるが、実は色々と使い道があるのだ、、、と、楽しく語りながら親子の関係を子ども達の視線から描いている。描かれている親子も様々な人種が登場し、何処の親子も同じなんだとの印象が自然と生まれる。数々の賞を得ているイラストレーターのお茶目な絵も、内容に良く合っている。短い英文なので、子ども向けのプレゼントとしても喜ばれるであろう。

Ruby’s Wish

By Shirin Yim Bridges, Illustrated by Sophie Blackall  (Chronicle Books – 2002)

Ruby is unlike most girls in old China. When she grows up, instead of getting married, she wants to attend university just like the boys in her big family.  Based upon the inspirational story of author’s grandmother who immigrated in the United States.>>> Shirin Yim Leos (Formerly Shirin Yim Bridges)’s books in SHI collection.

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ゴールドラッシュの時代、ルビーの祖父は中国からカリフォルニアに渡って帰国し、大金持ちとなった。当時の中国の富豪同様に、祖父も複数の妻を持ち、息子達も複数の妻を持たので、孫は100人近くもいた。その孫の一人が、いつも赤い服を着ているルビーであった。ルビーは、当時の普通の女の子とは異なり、結婚するよりも男の子達のように大学に行きたかった。祖父はそんなルビーを理解してくれた。この絵本は、作者Shirin Y. Bridgesの祖母の実話を基にしている。オーストラリア人のイラストレーターが描いた水彩画も素晴らしい。>>>SHIコレクションにあるShirin Yim Leos (以前のShirin Yim Bridges)の作品

More than Anything Else

By Marie Bradby, Illustrated by Chris K. Soentpiet   (Orchard Books – 1995)

Nine years old black boy who works with his father and brother at the saltworks in West Virginia, has a dream to be able to read.

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父や兄と一緒に塩を樽につめる仕事に従事していた黒人少年には、どうしてもかなえたい夢があった。それは文字を読むことである。文字との出会いを感動的に語っている絵本。このイラストレーターは、1970年ソウルで生まれた。8歳の時に養子となりハワイに移り、その後オレゴン州に移った韓国系アメリカ人。写実的で暖か味のあるSoentpiet の絵は多くの人達から賞賛され、自分の生い立ちの為か、異文化理解をテーマにした絵本も多く、SHIのコレクションにも彼の描いた絵本は複数ある。Soentpiet のHP.