Ruth and the Green Book                

By Calvin Alexander Ramsey, Illustrated by Floyd Cooper (Carolrhoda Books ~ in 2010)

Inspired by the true historical events. Ruth was so excited to take a trip in her family’s new car. In the early 1950’s, few black American could afford to buy car, so this would be an adventure.  But she soon found out that black travelers weren’t treated very well in some towns. Many hotels and gas stations refused service to black people.  Finally, a friendly attendant at a gas station showed Ruth’s family The Green Book which listed all the places that would welcome black travelers. With this book, they could make a safe journey from Chicago to Ruth’s grandma’s house in Alabama.

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1950年代には、車を所有できる米国黒人は大変に少なかった。人種差別がまだまだ歴然とあった時代に、黒人を歓迎する店、ガソリンスタンド、ホテル等をリストしたグリーンブックと呼ばれるガイド本が存在していた。実在したガイドブックにヒントを得てこの絵本は制作され、黒人少女ルースが両親と共に車でシカゴから祖母の住むアラバマの田舎へドライブした時の物語である。巻末には、グリーンブックの由来が詳しく説明されている。当時の米国黒人達の行動力を後押ししたこのガイドブックの存在は、異文化への橋渡し役をも大いに果たしたことだろう。

Filipino Friends

By Liana Romulo, Illustrated by Corazon Dadan-Albano (Tittle Publishing ~ in 2007)

A Filipino-American boy visits the Philippines for the very first time.  Featuring soft watercolor illustrations, each picture is labeled with English words and their Filipino translations, and shows reader both the similarities and differences between Western and Philippine lifestyles.

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フィリピン系アメリカ少年のサムが、始めてフィリピンを訪れた時の絵本である。絵図鑑のように描かれたものの単語がフィリピン語と英語で記されて、子ども達に興味深い話題は英文で詳しく解説している。フィリピンの季節、家族、食べ物、飲み物、スナック、子どもの遊びや風習等、様々な話題が子どもの視点から語られている。フィリピン系子ども達への文化遺産の伝承のみならず、他の文化圏の人達にとっても、フィリピン文化の理解に大いに役立つ絵本である。

Stars

By Mary Lyn Ray, Illustrated by Marla Frazee  (Beach Lane Books ~ in 2011)

Exploration of stars both near and far. Children’s imagination harmonizes with beautiful illustrations. All different children with their PJ come together to look up the stars in the night sky. This tender and lovely book is the best for bed time to have a sweet dream.

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夜空の星から星の形につながり、子ども達の周囲にある様々な星に話が発展してゆく。詩のように美しいイラストと子どものイマジネーションが調和している。様々な子ども達がいっせいにパジャマに着替えて、毛布に包まりながら土手の上で夜空を皆で一緒に仰ぐ。正に子ども達のベッドサイドで、眠りにつく前に読んで欲しい絵本の一冊である。

Totally Wonderful Miss Plumberry

By Michael Rosen, Illustrated by Chinlun Lee (Candlewick Press ~ in 2006)

Molly cannot wait to share her grandma’s crystal with all her classmates, the special crystal she looks at each night as she fells asleep.  Everyone crowds around, eager to see it.  But Russel runs by with his flashy, water-spurting dinosaur. Everyone’s attention are gone from the crystal, and Molly ‘s eyes are filling with tears. Miss Plumberry catches Molly’s situation and understands her feeling.

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モーリーは祖母からもらったクリスタルを学校へもって行って皆に見せるのを楽しみに、その朝学校へ出かけた。素敵な一日になりそうであった。クラスの皆もモーリーが持っているクリスタルに集ってきた。ところがその時ラッセルが、大きなダイナソウを抱えて入ってきた。そして、皆の関心はそちらへ向ってしまった。一人寂しそうにしているモーリーに気ずいたプラムベリー先生は、モーリーに理由を尋ねると、先生自らがそのクリスタルに大いなる関心を示した。すると、皆もクリスタルに再度寄ってきた。児童心理が微笑ましく描かれている心暖まる絵本である。

Belinda in Paris

By Amy Young  (Viking, Penguin Group ~ in 2005)

Belinda has arrived in Paris to perform, but her ballet shoes went to Pago Pago. To add to her problem, she has very big feet. As she and a young dance, Gabrielle, race through the streets of the city looking for a replacement pair, help comes from some unexpected places.

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バレリーナのベリンダが、パリで公演をすることになったが、大事件が持ち上がった。パリにもって来たベリンダの特大の特別のバレーシューズが、航空会社の手落ちでパゴパゴ(南太平洋)へ行ってしまった。その夜の公演までに、そのバレーシューズは届きそうもなかった。そこでバレーシューズを作る為にパリを走り回るのだが、、、、多民族社会のパリの様子とパリの伝統文化の中での葛藤が交差しながらも、何とか無事に公演を終える微笑ましいエピソード。作者がパリ滞在を満喫した後に制作されたこの絵本には、パリのエスプリが子ども向けにも溢れている。

What James Said

By Liz Rosenberg, Illustrated by Matt Myers (Roaring Brook Press ~ in 2015)

When a little girl thinks that her best friend James has been saying bad things about her behind her back, she takes action in the form of the silent treatment. As they go about their days and James tries harder and harder to get her to talk to him, they both realize that true friendship surpasses any rumor….or misunderstanding.

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親友のジェームスに立腹した少女の心の葛藤を、子どもにも解り易く語り、描いている。「自分のことを完璧だと思っている」と、皆に自分のことを言いふらしたと思い込んだ少女は、ジェームスを学校で避けるようになった。ところが完璧なのは彼女が描いた絵のことであったのだが、その絵の受賞が発表されるまで、本人は気ずかなかった。誤解とコミュニケーション、そして友情を語ったこうした絵本が出版されるのは、大いに嬉しいことだ。イラストも感情の隆起に合わせて見事に表現されている。

Lots of Feelings       

By Shelley Rotner (Millbrook Press Inc. ~ in 2003)

A face can tell you what someone is feeling. In this expressive photo-essay, simple text and photographs introduce basic emotions happy, grumpy, thoughtful and more and how people show them.

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子ども達の様々な感情をとらえた写真集。色々な子ども達が表わす感情を、簡潔に易しい言葉で、上手にまとめている。屈託のない子ども達の表情を見るだけでも楽しいが、作者の意図は[自分の内なる感情を表現することによって、他人の感情も読み取る能力が培われるので、コミュニケーションの上達にこの写真集を役立てて欲しい]とのこと。表・裏表紙共に、内側に英語の感情を表す単語が鮮やかに行列していて、大人でも子どもと一緒に充分に役立ち楽しめれる写真集。

The Cut

Directed by Fatih Akin (2014)

Armenian father’s journey through the Ottoman Empire after surviving genocide in 1915.  He was looking for his family and traveled to America via Cuba.

邦題 : 消えた声が、その名を呼ぶ

時代は1915年、オスマン帝国の崩壊と共に多民族・多宗教を擁護していた国家が、大混乱を起こす。イスラム教の威力増大により、キリスト教徒であったアルメニア人たちへの迫害が始まった。家族と引き離されて九死に一生を得たアルメニア人の父親が、声を失いながらも、双子の娘が生きていると言う情報を頼りに、ヨルダンからキューバ、アメリカへと娘を捜し回る。飛行機のまだ普及してない時代にその距離は膨大であり、100前の世界はまだまだ文明化のテンポが加速していなかったが、それ故に現代に共通する親子の絆の強さに胸打たれる。The Edge of Heaven と同じドイツ人監督 Fatih Akinは、この作品でも複数の国の映画祭で賞賛を受けた。地球各地でロケをし、7年の時間を費やして制作した映画には、人種・国籍を超えて関った多くの人達の人間賛歌の結晶が眩い。

The Bucket List

Directed by Rob Reiner (2007)

Story about two different men who shared a room at the hospital, and then shared the rest of their lives together.

邦題 : 最高の人生の見つけ方

全く異なる人生を歩んできた2人の初老の男性が、入院中に同室となり、同じように余命6ヵ月の宣告を受けた。そして、生きている内にやりたいことのリストを作り、2人で実行に移してゆくうちに互いに大事なものを見つけ出す。癌に病みながら深刻になりがちなテーマを、面白おかしく着色してある。4度も結婚歴のある白人大富豪家をJack Nicholsonが、45年間も家族の為に仕事一筋に働いてきた黒人自動車修理工をMorgan Freemanが、夫々の俳優の個性をそのまま発揮したごとくに見事に演じている。男性の視点からの人生観にも色々あるが、異なるカルチャー(生き方、考え方)超えた、ほのぼのとした暖かさを伝えてくれる。

The Railway Man

Directed by Jonathan Teplitzky (2013)

Former army officer who sets out the mission of revenge to confront the man who tormented him while he was a prisoner at Japanese labor camp during World War II.

邦題:レイルウェイ 運命の旅路

第二次世界大戦中にタイとビルマの間に計画された泰緬鉄道建設に従事させられた、英国人捕虜と日本人通訳者との和解をテーマとしたEric Lomaxの自伝の映画化。英国人捕虜達が日本兵の目を盗みラジオを作ったのが、見つかってしまった。主犯は自分だと名乗り出たエリックは、スパイの疑いをかけられ、拷問攻めになる。受信だけのラジオで、何も発信していないと説明しても聞いてもらえなかった。その時の苦しみが、戦後50年経ってもトラウマとなって消えなかった。そんな夫を妻は辛抱強く、ひたむきな愛情で支える。いつの時代でも、戦争は前線だけではなく、多くの人を巻き込み、各自の苦しみを癒す為には膨大な時間が必要となる。そんな戦争の惨さを、異なる戦争感を超えて見事に訴えている。