The painted Veil

Directed by John Curran (2006)

In 1920’s a young English couple, a middle class doctor and an upper-class woman, marry for the wrong reasons and they relocate to Shanghai where the husband uncovers his wife falls in love with someone else. The doctor accepts a job in a remote village in China ravaged by a deadly epidemic and takes his wife along.  Their journey brings meaning to their relationship.

邦題:ある貴婦人の過ち

邦題ではベールの意味するニュアンスが抜けてしまい残念であるが、題名だけでなく映像上も、中国奥地の霧が立ち込める息を飲むほどの美しい風景が印象的である。サマセット・モームの小説の映画で既に2度も映画化され、そのリメイク版であるが、映像でも充分に楽しませてくれる。舞台は1925年の中国の山奥にある小さな村にイギリス人細菌学者が赴任するが、彼の妻はイギリス上流階級の出身で、音楽とダンスとテニスしか知らなかった。2年前にロンドンで知り合い急遽結婚したが愛のなかった夫婦であった。中国の奥地でコレラが充満し次々と村人が死んでゆく現実に夫婦で直面しながら、お互いの必要性に導かれて愛が育まれてゆく過程が、燻し銀のように美しい。外国人排他運動が強まる当時の中国の地方農村で、主役の夫婦間のみならず周囲の人達の心をいたわり合う心理描写には、大いなる拍手を送りたい。